
初夏のある日のこと。兄弟仲良くそろって水ぼうそう。すぐに熱は下がったものの、体のぽつぽつがなくなるまでは学校にも行けず、近所をぷらぷらとお散歩。大きなシェパードのいる立派なお庭の前を通り過ぎました。犬好きの子供たち。見た目はいかついけれど、人懐こく体を寄せてくるシェパードを柵越しに撫でているとニコニコしたおばあさんが出てきました。
「梅の実、採ってみる?」という優しい声と共に誘われてお庭へ。大人の背丈まで伸びた立派な梅の木には脚立がかけてあり、好きなだけ取って持ち帰ったらいいよとおばあさん。梅の実の収穫なんて初めての子供たち。
大喜びで、青く甘酸っぱい梅の実をバケツ一杯に採らせて頂きました。「すごく良い香りがするのよ。こちらも埋めてみて!」と白い大きなハンカチのような花がさくジンジャーの株まで頂きました。
頂いた梅は梅酒に。そのあと、お礼に手作りのわらび餅をお持ちしました。
ニコニコした顔が出迎えてくださって、子供たちにも優しい声がけに、心がほっこりと温かくなります。
また今年もそろそろ梅酒の季節。頂いたジンジャーは、めきめきと大きくなって、毎年華やかな香りをあたり一帯に漂わせてます。でも、最近はシェパードは家の中にいるよう。おばあさんも、「最近手術したのよ」とお話ししてからは、姿をみることがなく、寂しい限りです。
またわらび餅を作ってたずねてみなくちゃなと梅酒の季節を迎えると、目じりの下がったおばあさんの顔を思い出します。地域で一緒に子供を育てる感覚が薄れている今、昔ながらの、こういう親切な方に出会うと、心底嬉しく思います。